廃陸の旅団

海底都市へ

4日ほどの間、カムイは修道院の空き部屋を借りて安静にしていた。

修道院には無認可のヒーラーが多く、数時間置きにカムイの治療をしてくれた。

その間、リリーはマールと一緒に修道院内の清掃などを手伝っていたらしい。




カムイが回復したのをみて、カムイとリリー、マール、そしてソーマがマリアに呼び出された。

「この度の騎士団の無礼をお詫びいたします。しかし、ここにいる者達のほとんどがスフィア戦争によって家族や友人を失っているのです。なのでいくらソーマの命恩人と言えど、軍人だと判明したあなた方にこれ以上ここにいて貰うわけにはいきません。」

「はい。分かっています。看病していただいて本当に感謝しています。」

重苦しい雰囲気が流れる。

戦争なんてなければきっとここにいる人達は笑って暮らすことができていただろう。

自分達が生まれる前の事件だからといって関係がないわけではない。

今ここにこうして戦争の傷跡が色濃く残っているのだから。

「それから……マールは秘宝であるブルー・スフィアを使用したことで、半永久的にこの修道院からマールを除名します。」

マールはその言葉の裏にあるマリアの優しさを唐突に理解した。

「あなたはもうこの修道院とは関係ありません。したがって掟を守る必要もないというわけです。マール。しっかりとあなたの成すべきことを成しなさい。」

「うん、ありがとうマリア。」

小さな少女の強い瞳から涙が一粒こぼれ落ちた。

「祈りを捧げにたまになら戻ってきても良いのですよ?」

「……うん。うん。」

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