廃陸の旅団
すぐにシルファの治癒が始まるが、ヒーラーの顔の曇りが晴れることはない。

少し良くなったジンがシルファに付き添う。

「なぁ、ジン。アーカーの背負う業って何なんだ?」

カムイがジンにそう尋ねると、ジンは少しだけシルファに目を落としてから話し始めたのだった。

「アーカーは他に分類できない特異な能力を自在に創造し扱うことができる。」

「ああ、それは知ってる。」

ジンはゆっくりとカムイの方へと向く。

「しかしアーカーにはある一つだけの共通点があるんだ。」

「共通点……?」

ジンは小さく頷くと、またシルファの方を向き、シルファのシワシワの手を握り締める。



「アーカーの能力はフォースではなく生命を消費するんだ。」

「なっ――!?」

「シルファの場合は能力を使うと、急速に老化して寿命を削り取られる。」

シルファが力を使う度に感じていた違和感の正体にカムイは言葉を失った。

「シルファが何で、皆に敬語を使うのか知ってるか?」

「え?」

ジンはシルファの少し汗をおびた頬を優しく撫でる。

「こいつ本当はまだ13歳なんだよ。旅団の最年少なんだよ。」

「そ、んな……」

カムイは驚きのあまりに、その場に力なく座り込んでしまう。

そして、ある感情が沸き上がりジンに詰め寄る。

「じゃあ何か?お前達はそれを知っててシルファに能力を使わせ続けていたっていうのか!?」

ジンの胸ぐらを掴みあげるカムイ。

ジンは優しく笑う。

「それがアーカーが背負う業だから。」

「――!!」

ストンとまたカムイは床に崩れ墜ちる。

十八歳の少年には受け入れがたいことだった。

だがシルファはそれでも、その業を受け入れ、旅団の為に尽くしていたのだ。

他の誰にも出来ぬ力を授かった。ならば生命を削られようと他人の為に駆使する。

アーカーと呼ばれる者達は皆、そんな悲しき業を背負い続けるのだった。






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