廃陸の旅団
「やめてよウリア兄ちゃん!!」
どこからともなく小さな男の子の声が聞こえ、ウリアの手が止まった。
「テリア……?テリアどこにいるんだ!!テリア。」
ウリアはその声の主を探してあたりを見渡す。
すると人間らしき物体の詰められた箱が動いていることにマールが気付いた。
ゆっくりと近づいていき、傷ついたニーヴァスが入っていた箱を掘りあげると、中のニーヴァスと目が合った。
「きゃあぁぁぁっ!!」
「うわぁぁっ!!」
死骸と目が合ってしまったと悲鳴をあげたマール。
マールの声の大きさに驚いたテリアの悲鳴が素晴らしいハモリのきいたサウンドを作り出した。
「生きてたのかテリア。」
いつのまにか移動してきたウリアがテリアを箱から抱えあげる。
テリアの身体はボロボロだった。
火傷や皮膚病の跡がマールの位置からでも痛いほどよく分かる。
心身共に衰弱し切っているようで、自分では動くことすらままならないらしい。
「大丈夫?今治してあげるからね。」
テリアを治療しようとしたマールの手をウリアが振り払う。
「やめろ。そう言ってテリアを殺す気なんだろう?こいつはおまえらを始末してから軍の研究室で治療してもらうさ。」
テリアはウリアの腕に頭を埋めている。
「待って。あなた達ニーヴァスは治癒ができるんじゃないの?」
「ニーヴァスは自己細胞の操作しかできない。だから仲間を治療することはできないんだ。」
ウリアはまるで人間のそれのように、愛しいものを見る目でテリアを見つめていたことにマールだけが気付いていた。