廃陸の旅団

真空波がマールを捕えた瞬間。

光の結界が一層輝きを増すと、真空波はまるで影が光に掻き消されるかの様に、一瞬にして消えた。

「なっ……直接攻撃だけでなく、呪術攻撃さえもを完全に遮断するのか!?」

「こりゃあ驚いたな……あの嬢ちゃんアーリアを凌ぐ器か……?」

すると光の結界が弱まり、次第に輝きを失っていく。

「――!!マール!!」

完全に傷が癒えたジンが、力なく倒れるマールを受けとめた。

「どうやら力を使い果たしたようだな。」

これで絶対防御は無くなったぞ。と言う意味で言ったニーガルの声色に僅かに畏怖が混じっていた。

「あれだけの術を、あんだけ長く使ったんだ当たり前だろう。しかしな……」

絶対防御、完全治癒ただでさえ神業的な治癒技術を要する術を、4人に一斉にかけるという荒技。

マールのフォースが到底それを成し遂げるに到達していないことは明白で、ニーガルとオスカーという手練をここまで驚愕させた一因はそれだった。

「古代呪術は体内の核からとは別に、大気中を不安定に流れるフォースをも扱ったと聞く。」

「それが可能だったのはアーリアの血縁のみ……希有な血の力か、同じ特異体質を持つのか、興味の尽きねぇ嬢ちゃんだな。」




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