廃陸の旅団

「……………。」

マールを見据えていたニーガルの金色の瞳が、改めてオスカーへと向けられる。

「どうするオスカー?サンクチュアリが解けた今、彼らは正真正銘の足手まといとなったんじゃないか?」

ニーガルはそう挑発する様に漆黒に輝く刄をオスカーに突き付ける。

「いいや。そんなこたぁねぇさ。そうだろ?おまえら。しかしな」

マールを取り囲む様にしてカムイ、ジン、アストンがフォースを練っていた。

オスカーは3人の状態から、マールを完全に3人に預けて問題ないことを悟り、にやりと笑う。

「行くぞ……」

その自重だけで地面に突き刺さっていた大剣が、その場からオスカーの姿と共に消える。

「迅い!!これがオスカーさんのトップスピード。これならばいくら兄さんだって……」

「……よく見ろよアストン。ニーガルも負けちゃいねぇ。」

超高速。

目で追うことすら困難なそのバトルスピードは常軌を逸していた。

二人は体術、剣術にさらには呪術をも交えた巧みな攻防を繰り返す。

「はぁあ『双竜牙翔-ソウリュウガショウ-』」

ニーガルは呪術で生み出した鋭い幾つもの牙を、双剣で打ち付けオスカーへと飛ばす。

「甘ぇなぁ。」

オスカーは力強く大剣を一振りすると、その剣圧で牙を弾き返す。

その隙にニーガルがオスカーの背後を取り、振り上げた純白の刄を躊躇なく振り下ろした――


「残念。鍛練さぼってたのがバレバレだぞ、そんなフニャケタ太刀筋じゃあよ。」

「もう、そんな大剣を扱う年ではないでしょう?『双竜総牙』」

まさに瞬速の太刀を、見極めたオスカーの蹴りがニーガルの脇腹を深くえぐる。

「接近戦では技のフォースを練る時間が命取りになるから、あれだけ接近戦用の技を極めとけ。と言ったはずだろう?ったく、何も体得しちゃいねぇのかよ。ほれ、早く立てよ。」

片膝をつきながらオスカーを睨むニーガル。

それよりも冷たい目線でオスカーがニーガルを見下していた。

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