廃陸の旅団

百戦錬磨の策士

アストンの入った門はオスカーのそれとは違い明るかった。

見通しの良い長い長い、果てしなく続く道。

壁面は横しま模様に天井と床は縦縞になっていて遠近感をくずされてしまう。

果てなき道がより長く感じてしまうのだ。

進めど進めど一行に先に進めている気がしない。

「やっとお出ましですね。ゲルゴアさん。」

数メートル先の壁がかすかに揺れる。

その揺れた一部分がめくり上がりゲルゴアが現われた。

「オーバー・プラネットへ着くまでのあなたなら気付かない程度に気配を隠しておったんじゃが。どうやらここへくるまでに進歩したようじゃな…」

ゲルゴアは何とも嬉しそうにそう言うと音もなくアストンへと近づいた。

「…ふむ。妙じゃな。ここら一帯に張り巡らした結界が発動せん。」

「僕がさっき結界の一部を壊しました。最初から気付いていたのでしょう。孔気の流れに動きがありませんでしたよ。」

ゲルゴアを前にアストンは落ち着いていた。

「孔気の流れ…ふふ。残念じゃがわしは孔気の流れを変えずに術を発動することができる。例えばこんなふうに…」
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