廃陸の旅団
術を発動する際。

どんな手練れと言えど身体を纏う孔気によどみができる。

それがどうだろう、ゲルゴアの術にそのよどみはなかった。

そして何の気配もなくゲルゴアの周囲に爆雷が巻き起こり床が吹き飛んだ。

「…なっ!!ありえない。術を出す。そう言われてなければ今の術に気付かずに殺られていた。」

アストンは右腕全体に広く傷を負ったものの、なんとか爆発に飲み込まれずにすんだ。

驚愕するアストンを悠々と眺めながらゲルゴアが爆煙の中から出てくる。

「素晴らしい反応じゃった。今のはわしが想定していた"オーバー・プラネットに到達した君"ならば躱せないものだった。どうやらわしの想像以上に腕を磨いたらしい…ふふ、わくわくするの。」

ゲルゴアの言葉に反応はない。

「…風荒らびて刃となれ。水荒らびて陣となれ。雷荒らびて塵となれ。『エビル・ストーム〈最果ての大嵐〉』」

アストンは驚愕の中で、落ち着きを保ち続けていた。

ゲルゴアの術を躱したその瞬間からすでに詠唱を始めていたのだ。

そして余裕に笑みをこぼしていたゲルゴアに、アストンの生み出した暗黒の雷をも飲み込んだ竜巻が直撃する。
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