廃陸の旅団
瓦礫から身を乗り出したハイマンスが土埃におおわれた仲間に叫ぶ。

「ぐっ…皆無事か?」

身体にのっている壁やら、瓦礫をどかしそれぞれが応答する。

「こっちは大丈夫です。」

「私もOKだよ。」

全員なんとかローザスの孔気砲から逃れることができたようだ。

安否を確認したハイマンスが意を決したように言う。

「皆少しの間でいい。時間を稼いでくれ。私がこの戦いに決着をつけよう。」

そう言うとハイマンスの孔気が一気に膨れ上がった。

その波動は離れている仲間にも届く程で、空間を覆い尽くしている土埃を吹き飛ばした。

上空で待機していたローザスもハイマンスを孔気を感じ取ったらしい。

昔一度だけ見たことのあるハイマンスの姿。

暴動を起こした、のべ三万人超の反軍勢力をたった一撃で全滅させた、ハイマンスの最強呪術。

いくらスフィアによって爆発的に強くなったローザスとはいえ、その術だけはくらうことはできない。

ハイマンスの詠唱を止めようとローザスはハイマンスにむけて急降下してきた。

「おおっと。俺様を無視しようってんなら大した度胸だな。」

急降下するローザスの眼前にオスカーが立ちふさがった。
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