天然彼氏。
もしかして……君は、何か勘違いをしていらっしゃる――?

そうだ。肝心なことを、すっかり記憶回路から取り払ってしまっていた。


君は、

「天然」だということを。


「………」

まさか……こんな、天然クンに有りがちな、お決まりの反応が返ってくるなんて……一体、誰が予測していただろうか。


――いや、心の片隅では少なからず、覚悟していたのかもしれない。

しかし、それを認めたくない気持ちがあったため、確かめる意味も込めて、こんな風に告白なんてしてしまった――と。


「……っ」

な……何か、そう思ったら急に、顔から火が出そうなくらいに恥ずかしくなって……。


「ごめんなさいっ……」

わたしはとっさに、その場から逃げだそうと全速力で走り出していた。


――かの様に思い込んでいた刹那、


「どこに行くの?」

後ろから伸びてきた手に腕を掴まれたせいで、脱出困難な状況になってしまった。

そのまま、反動がついたわたしの体は、君の胸に衝突し……。


「ぅあ……」
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