【短編集】時空郵便
青年の身体が手すりの向こう側へ消える。
「うっ……ぐぅ!」
腹に手すりが深々と食い込んだ。
痛い。
息ができない。
「掴まれ!」
青年の全体重が俺の右腕にぶら下がる。
「早く!反対の手を!」
青年は動かない。
「おい!」
青年は俺を見上げていた。
その表情を俺はうまく認識できなかった。
憎しみ。
怒り。
悲しみ。
全部をぐちゃぐちゃに混ぜたような顔で。
俺を見ていた。
なんで、俺はそんな顔で見られているのだろう?
「何してんだ!早く掴まれ!」
指が痛い。
手首がちぎれそうだ。
腹が手すりに押し潰される。
「早くしろ!」
青年の腕を掴んでいる俺の指が一本。
また一本。
ゆっくりと開いていく。
殺すつもりなんてなかった。
ーー少なくとも助けようとしていたと思う。
「おい!」
青年は手を伸ばさない。
俺の顔だけを見ていた。
そして。
その口元がわずかに歪んだ。
「……ありがとうございます」
吐き捨てるように。
確かにそう言った。
「は?」
青年の腕が。
俺の手から抜けた。
「あっ――」
黒い身体が落ちていく。
「おい!」
手を伸ばす。
届かない。
「おい!!」
青年はもう見えなかった。
少し遅れて。
遥か下から。
何か重たいものが地面に叩きつけられる音がした。
「うっ……ぐぅ!」
腹に手すりが深々と食い込んだ。
痛い。
息ができない。
「掴まれ!」
青年の全体重が俺の右腕にぶら下がる。
「早く!反対の手を!」
青年は動かない。
「おい!」
青年は俺を見上げていた。
その表情を俺はうまく認識できなかった。
憎しみ。
怒り。
悲しみ。
全部をぐちゃぐちゃに混ぜたような顔で。
俺を見ていた。
なんで、俺はそんな顔で見られているのだろう?
「何してんだ!早く掴まれ!」
指が痛い。
手首がちぎれそうだ。
腹が手すりに押し潰される。
「早くしろ!」
青年の腕を掴んでいる俺の指が一本。
また一本。
ゆっくりと開いていく。
殺すつもりなんてなかった。
ーー少なくとも助けようとしていたと思う。
「おい!」
青年は手を伸ばさない。
俺の顔だけを見ていた。
そして。
その口元がわずかに歪んだ。
「……ありがとうございます」
吐き捨てるように。
確かにそう言った。
「は?」
青年の腕が。
俺の手から抜けた。
「あっ――」
黒い身体が落ちていく。
「おい!」
手を伸ばす。
届かない。
「おい!!」
青年はもう見えなかった。
少し遅れて。
遥か下から。
何か重たいものが地面に叩きつけられる音がした。