【短編集】時空郵便
真っ暗な塀の中。
満足な食事はなく。
決められた労働をこなし。罪を償う。

俺は今、麻薬所持の現行犯で捕まり、刑務所の中で暮らしていた。



なんでこうなった?

親に言われるがままに勉強して。

教師に言われるがまま進学し。

世間の期待に答え続けた。

なのに、なぜ?

もう一度だけ人生をやり直せたら。

もう一度昔に戻れたら。

そしたら、俺は

俺は―


「バカですねぇ。人生をやり直すことなど出来る訳がないでしょう。」

真後ろに誰かの気配がして俺は後ろを振り返った。

誰もいない。

当たり前だ。ここは刑務所で俺に割り当てられた一人部屋。

自由に出入りも出来ないし、誰かが勝手に入ってこれるわけない。

「だからアタシ言いましたよね。時空手紙は必ず昔のあなたへと届きますが…必ずしも運命を変えてくれる、という訳ではない。と。」







時空郵便は今日も誰かの元へ。

しかし、運命を変えるかどうか―

それは"過去"や"未来"のあなた自身にかかっています。



「どーもー。毎度お騒がせ、安心便利をモットーに過去も未来もヨヨイのヨイ『時空郵便』の者でーす。」

...『独房の少年』fine.
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