♂性別転換♀

「そうそう、チケット貰ってさ。もうじき期限切れになりそうだったから行ったんだ」


無理がある嘘だけど、虎ちゃんはあっさり信じて、小さく「良かった~」と呟いた。


もしかしてほんとはかなり単純? もしくは恋は盲目ってか?


恐るべし、ラブパワー。


「で、ネズニーランドはどうだった」


「えっ?」


忌まわしい記憶が、走馬灯のように駆け巡った。


ネズニーランドで起こった、凄まじい珍事件の数々。


その傍らには、必ず笑顔の大翔がいた。


某少年探偵団のように、大翔が行く所々に事件が起こり、なぜか俺が巻き添いを喰らう。


忘れたいのに奥深くまで刻まれた記憶は、自力で忘れ去ることは不可能。


鮮明に、地デジやワンセグに劣らぬ画質で、夢の国が地獄へと様変わりする映像が流れ続ける。
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