♂性別転換♀
それはどんなに辛いことか、やっぱり俺には理解できない。
慰めの言葉をかけることも、背中を押してやることもできなくて、大翔の漏らす泣き声を聞くことしか俺には許されない。
これは大翔の問題だから、俺が迂闊に口を挟んじゃいけない気がしたんだ。
外の景色はいつの間にか紅色に染まり始める。
いつかのような夕暮れが窓から射し込み、俺と大翔に影を落とした。
「僕は逃げてただけなんだ」
不意に力がこもった声が耳に飛び込み。
先程までの小さな背中は、決意に満ちた大きな背中に変わっていた。
「戦いもせずに病気から目を背けて、楽な方に僕は逃げてた。でも、それじゃいけないんだって気付いた。逃げてばかりじゃ何も変わらないってお兄ちゃんに教わった」
「俺に?」
「女の子にされたのに、僕を恨んでもしょうがないのに、お姉ちゃんになることを承諾してくれたでしょ」