◆紫色の恋空**先生の切ない恋**◆
俺は何となく深呼吸をして、そっと教室のドアを開けた。
―――ガラッ・・・
いきなり開いたドアに驚いて、沖田はパッと振り返った。
そして、ドアに手をかけたまま突っ立っている俺と目が合う。
沖田はとっさにまた窓のほうを向いた。
必死に涙を拭いているのが、後ろ姿だけでわかった。
「沖田か。まだ帰ってなかったのか。」
俺は、いつものように明るく沖田に声をかけた。
すると、沖田はちょっと躊躇いがちに目線をそらしながら、笑顔でいった。
「サッカー部の記録表をまとめてたんです。」
そう言って、沖田は机の上のルーズリーフを指差した。
「おう、そっか悪いな。出来たか?」
「あ、もうちょっと。明日先生のとこに持っていこうって思ってて。」
「じゃあ、書いてしまって。俺も日誌チェックしてしまうし。」
「分かりましたぁ。」
沖田はそう言って、また自分の席に座って、作業をし始めた。
俺は、沖田の前の席に座り日誌チェックを始めた。