◆紫色の恋空**先生の切ない恋**◆
「そうか、お前にも届いたんだな…」
「あぁ…。ポストに入ってたよ。」
唯一、過去の俺を知っていて、一番俺を理解してくれている男。
「雪斗、最近あいつらと会ったか?」
「奈々には会ったよ…。元気そうだったぞ。」
電話の向こうでフッと笑いながら、そう言った雪斗。
高宮 雪斗(タカミヤ ユキト)。
俺の大学1年からのダチ。
今でもたまに飲みに行く奴だ。
「…そうか。」
「まぁ、事情が事情だし…行くか行かないかはお前次第だよ。俺は、誘いもしないし、止めもしない。」
「あぁ、分かってるよ。」
「さて、この話は終わりにして…
また飲みにでもいこうぜ?」
こいつの、こういうとこが連んでて楽なんだよな。
どんなに暗い話でも、重い空気にしない…いつも同じ空気間を保つ、不思議なやつ。
「おう、いつ暇?」
「ばかやろ、お前のためならいつでも空いてるよ。」
「フッ…ばか。」
調子のいい雪斗と飲みにいく約束をして電話を切った。
そのまま携帯で時間を確認すると、
まだ夜の9時を回ったところだった。