◆紫色の恋空**先生の切ない恋**◆
ひとり、会社の上司達に挨拶してまわる省吾と奈々を眺めながら、俺は飲んでいた。
すると、さっきから斜め前から視線を感じていたが…着飾った女2人が声をかけてきた。
「あの~お一人ですか?」
「えぇ、まあ。」
「よかったら、お話しませんか?」
こういう席で、着飾った女は大胆に男に声をかける。
というのは、気のせいか?
「悪いけど、今ひとりで飲みたいから。」
「あ、でも・・・」
俺は座っていたイスから立ち上がり、ホールから出た。
他の女と話すような気分じゃない。
かと言って、話したい女は男と帰っちまったし。
って俺めちゃくちゃ妬いてんじゃねぇか。
「ハァ…」
イギリスの庭園のような中庭にでると、俺は小さな噴水の脇に座り、煙草に火をつけた。
「何辛気くさい顔してんだよ、縁起わりぃなぁ。」
「おいおい、主役の新郎がこんなとこで一服しててもいいのか?」
「いいだろ、一本くらい。朝から吸ってねぇんだってば。。」
そんな軽口を叩き、煙草をくわえた省吾は俺の隣に同じく座った。