◆紫色の恋空**先生の切ない恋**◆



「これで、思いっきり仕事にも打ち込めるよ。」


「何で」



首を傾げた省吾に、俺は一発頭を叩いてやった。



「お前らの幸せそうな顔、見たからな!」


「修二…。。」


「また、飲みに行こうな。」


「お、おう。」



後ろで鼻をすする音がしたけど、聞こえないフリをしてやった。


省吾のやつ、あんな涙もろかったっけな。


パーティー会場を出た時だった。



「修二っ!」


「奈々。」



赤のシックなドレスに着替えた奈々が走り寄ってきた。


少し昔を思い出した。


キャンパス内のどこかで俺を見かけると、こうやって走り寄ってきたな。


今になっちゃ、いい思い出だよ。



「もう帰っちゃうの?」


「まぁな。2人にも逢えたし。」


「今日はホントにありがとう、来てくれて。修二に会えてよかった。」


「俺こそ、ありがとな。」



俺がそう言うと、奈々は不思議な顔をした。



「何か俺のなかで整理がついたよ。」


「そっか…。」


「じゃあ、またな。新居に移ったら、連絡しろよ~?」


「うん!」



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