◆紫色の恋空**先生の切ない恋**◆



そして、放課後。



今日は部活がないため、生徒達はちらほらと見当たるだけ。



俺は残っていた仕事を早めに終わらせ、ある場所に向かって廊下を歩いていた。



その場所とは、



―――――ガラッ



最近余計に滑りが悪くなった引き戸を開けた。



そこは、晴天だった青空が…
赤い夕日とグラデーションになった空の紫色に染まった教室。



久々に見たこの紫色に染まった教室。



そしてその教室の窓際の席に腰掛けて、空を見つめる1人の生徒の姿。



「あ、先生。」


「悪いな、待っといてもらってな。」


「いえ、空…見てましたから。」


「そうか。」



振り返った沖田の隣に移動し、同じように机に腰掛け、空に目を移す。



「話って、もしかして…奈々さんの…」


「ん…まぁな。」



俺は、午後のSHRの後…
沖田に、放課後話があると伝えていた。



俺は決めていた。


今日、沖田と話して、ちゃんと自分の気持ちに整理をつけようと。



今日すべて、サッパリさせようって。



男としての俺と、教師である俺のために。




< 175 / 182 >

この作品をシェア

pagetop