お兄ちゃんは悪魔サマ
 


「ってか、お前にも解ると思うんだけど」

「私にも?」

「何の為に悪魔になったとか、全然聞いてないわけ?」




何の為……?

お兄ちゃんが言ってた事さ……




「私の……ため?」

「まぁそうだろうな」

「私の側にいる為って事……?」




先生は何も言わず、私も口を開かず、しばらく沈黙が続いた。

ただ側にいる為だけに悪魔になるなんて、現実的じゃない……


だとしたら、私自身に何かが……




「悪魔には、その人間の死ぬ時が解る」



そう言えば、イグルスさんがそんな事言ってた……

先生は私に近づくと、右手人差し指で私の心臓を指さした。




「お前に残された時間は……」



心臓がドクンと跳ねる。

今から自分の死ぬ時を知らされようとしているのだから、当たり前かもしれない……


先生の顔から目が離せない――




その唇がゆっくりと、私に宣告をしようとした時だった。


ガシャァァン

「やめろっっ!!!」




保健室の窓ガラスが割られ、その破片が散乱する。

そこに現れたのは……




「お兄ちゃん……」




先生はそれを予想してたかのように、落ち着きはらっていた。




「残念、もう少しで核心を話せたのに」








最後まで話しは聞けなかった。でも、それが何を意味するのか……

解っちゃったよ、お兄ちゃん……



 
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