お兄ちゃんは悪魔サマ
*残された時間*
「お兄ちゃん、私にもちゃんと聞かせて」
あれからお兄ちゃんとイグルスさんに連れられて、自分の部屋に帰って来ていた。
お兄ちゃんが来た時、先生は何をするでもなくただ煙草を吸い始めた。
お兄ちゃんが興奮して先生に殴りかかろうとしたけど、イグルスさんが止めた。
『あなたの目的は何ですか?』
『目的?んなモンねぇよ。ただ面白そうだったから、ちょっかいかけてるだけ』
『……ならば今後、唯さんに近づかないで下さい』
『お前に指図される覚えはない』
イグルスさんと先生でこんなやり取りが繰り広げられ、話しても埒があかないと引き上げて来たのだ。
「唯、アイツの言う事なんか信じなくてもいい」
「じゃあ、先生の話しは嘘だって言うの……?」
「…………そうだ」
お兄ちゃんは右手で髪をかきあげながら話している。
気づいてないの…?
その癖、お兄ちゃんが嘘つく時にするんだよ……
「どうあっても教えてくれないの?」
「教えるも何も、アイツの言う事はでたらめだ」
「なら、もう一度先生に聞きに行く」
危険な事は百も承知の上。
でもお兄ちゃんが教えてくれないなら、それしかない……