お兄ちゃんは悪魔サマ
「なっ……お前な、何言ってるのか解ってんのか!?」
「解ってるよ。仕方ないじゃん、お兄ちゃんが教えてくれないんだから」
「だから、それはっ!」
声を荒らげるお兄ちゃんを、今まで静観していたイグルスさんが制した。
「陵……おそらく唯さんはもう気づいてしまっています。変に隠してしまってまた八城に近づかれるよりは、話してしまった方が……」
「うるさいっ!イグルスに何が解るんだよ!!」
そう言ってお兄ちゃんは飛び出してしまった。
残されたイグルスさんは、とても哀しそうな目をしていた……
「あの、イグルスさん。教えて貰えませんか……?」
私がそう切り出すと、イグルスさんは首を横に降った。
「これは陵にとって大切な問題です。私が勝手に話す訳にはいかない……」
静かな口調ながらも、固い信念のようなものが感じられた。
この人は、目的を達成出来なかった人……。哀しい過去を背負ってるんだと思う。
じゃあ、八城先生は……?
先生も駄目だったんだよね……?
やっぱり、もう一度話してみたい。