お兄ちゃんは悪魔サマ
「ほらっ、行くぞ」
尚哉くんは私に手を差し出す。
「行くってどこに……?」
「ここじゃ兄貴がうるさくて話しになんねぇからな。ちょっと外に行く」
確かにこうやってる間も先輩はドアを叩いたり、たまに蹴るような音も……
彼をよく知らないのについて行くのは多少抵抗があるけど、さっきの話しが気になる。
「わかった」
私は了承の返事をして、尚哉くんの手を取った。
すると、尚哉くんは私を引っ張り窓から身を乗り出す。
私は思わず抵抗した。
「ここ2階!ちょ、ちょっと待って!!落ちちゃう!!」
「たかだか2階じゃん。ちょろいっつーの」
そう言って凄い力でフワッと私を持ち上げて、そのまま飛び降りた。
「きゃあぁぁぁぁっ!」
「うるせぇっ!」
思わず目を閉じ体を強張らせる。でもいつまでたっても衝撃が来ない……
あれ……?
そっと目を開けると、いつの間にか地面に着地していた。
この子、人間?
「あのさ、そんな目で見ないでくれる?ちょっと普通じゃないけど、れっきとした人間です」
「あ……ごめん」
「さてと」
尚哉くんは私を抱えたまま走り出した。そりゃあもう軽々と。
「ちょっ、どこ行くの?」
「あんたが叫ぶから、兄貴が出てきちまう。あ、でもドアは壊れずに済むかもなっ」
そう言って屈託なく笑う尚哉くんは、悪い子ではなさそう……