ぼくらの事情
真っ白な抜け殻になったり、頬を真っ赤にしたり……。
さっきから忙しなく変わる顔色に、
「響生?」
「っ!!」
ますます怪訝そうにした絆が名前を呼べば、響生の心拍数は一気に跳ね上がる。
架がくん付けで呼ばれて不機嫌になったものの、いざ自分の名前が呼ばれたらこんなにも動揺してしまうとは夢にも思っていなかった。
正面からは幼なじみたちがまじまじニヤニヤと、自分の動きを観察している。
バクバクと激しく伸縮する心臓辺りを一度拳で叩き、
「えっ?」
そのまま拳で絆の右手首を捕まえた。
そして、
「俺は、諦めねぇからなっ!」
張り上げた声で真っ赤になりながら宣言された言葉に、
「響生カッコイイーっ!」
「おまえはやれば出来る子だと思ってたよ」
やんややんやと盛り上がる幼なじみたち。
言い切った本人も満足げに鼻を膨らませている。
そんな中でただ一人、
「……何、を?」
全く話の内容が見えてない張本人がポツリと呟いたところで、
昼休みの終わりを知らせるチャイムの音が、虚しく部屋中に鳴り響いた。