ぼくらの事情
聞きたいことは山ほどある。
彼は何者なのか。
絆とどういう関係なのか。
っていうか、ぶっちゃけデキてんじゃね?
諸々と頭に浮かんでくる疑問は、
『大事な人』
絆が発したこのフレーズに全部打ち消されてしまう。
「ど、どうしたの?」
ポカンと口を開け、抜け殻と化した響生を絆が訝しそうに顔色を窺った。
「哀れ響生」
「今日は朝までとことん付き合うよ……」
さすがの幼なじみたちも響生に掛ける言葉が見つからず、テーブルを挟んで向こう側から遠巻きに見守ってる。
「ち、ちょっと……」
三人の行動のどれもが理解し難く、気が付けばうなだれてしまった響生と口を噤んだ二人をオロオロと交互に見てるばかり。
「ねぇっ、どうしたの?」
堪りかねた絆が、うなだれた響生の顔をグイッと覗き込んだ途端、
「ぅっ……」
目の前に現れた絆のアップに、思わず生気を吹き返したように勢い良く顔を上げた。