ぼくらの事情
ただの親子喧嘩と化した理事長室のやりとりの末、
「じゃあ、頼んだよ」
「…………」
父には逆らえない息子が泣く泣く引き受けるという、響生にとっては一方的で腑に落ちない結果で事態は幕を閉じた。
忌々しい調査書を片手に、外側と変わらず仰々しい扉に手をかけた背中に、
「くれぐれも手は出すなよ。雅さんに殺されるから」
「黙れクソ親父っ」
かけられた言葉に、響生は扉を目一杯の力で閉ざしていった。