死神少女
「あ」
メロンパンを頬張りながら学校へ登校している最中、また見つけてしまった。
頭上に揺れる光の玉。
あ、あそこにもある。
最近多い。やっぱり不況だからーー「ちょっと、愛生!」
思考を遮られて横を向くと親友の雪子ちゃんが頬を膨らませてあたしを覗きこんでいる。
「ーーごめん、何?」
「何じゃないよっ愛生、人の話聞いてる?」
「聞いてなかった。でもなんとなく分かるよ、また藤堂くんの事でしょ」
「ふふ♪あーたーりっ!ほらアソコ!アソコ!今日も見れるなんて超ラッキー」
雪子ちゃんの指さす方へ視線を向けると、駅のホームに、我が校にもファンクラブ(雪子ちゃんは幹部)がある隣の男子校の藤堂 光くんが立っていた。
「確かに格好いいけど…あたしは好みじゃないなー」
「はあ!?愛生?!藤堂くん素晴らしさが分からないなんて、頭おかしいんじゃない?!」
確かにね。
ある意味おかしいのかもね。
通り過ぎた光の玉を見てほんのり思う。
「だってあの人、陰があるんだもん」
「陰?」
「うん。そう。普通の人にはない陰があるの」
藤堂くんの頭上に浮かぶ黒い光を見つめながらそう言ったあたしに雪子ちゃんは「えぇ~?」と目を細めて彼を見つめた。