死神少女
不意に彼が読んでいた本から顔を上げる。


向かいのホームにいたあたしと…目があった。


クス。
口元を上げて笑った。


口元が動く。


見・え・て・る・の?


口がそう動いた、ように感じた。


「きゃー!笑った!あたしに向かって笑ったよね?愛生?!」


どういうことだろう。

もしかして彼は気づいているのだろうか。

彼の頭上に浮かぶ黒い光にーー


再び本に視線を落とした彼にそんなワケないか…と思いなおした。


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