初彼 -ハツカレ-




チャイムが鳴りそうな少し前、

木積くんは帰ってきた。



――――…苦しそうな顔をして……。



授業が始まってしまって、

木積くんに何があったのか訊けなかった。


でも、



「小泉、ちょっといいか…?」


その授業の次の休憩時間に

木積くんからあたしに言いに来た。



「…………いいよ。」



木積くんの頼みなら、

絶対に訊くんだ。

















「…………市丸先輩と、

ダブルス組む事になった……。」




廊下の壁に寄りかかって

暗く小さく呟いた木積くんが言った言葉は

なぜか哀しそうに思えた。



「………木積くんは、

………嫌なの??」



「………嫌じゃない。

市丸先輩も俺の事、

『最近頑張ってる』って言ってて、

市丸先輩も認めてる感じなんだ……。


でも、俺はなるべく組みたくない。」



「………何で?」


あんなに市丸先輩が大好きな木積くんが、

何でそんなに嫌がっているのか分からない。




「…………迷惑掛けたくないんだよ。」

木積くんはポツリ…と言った。






< 283 / 317 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop