初彼 -ハツカレ-




「市丸先輩は次の大会が

最後の大会になるかもしれない。

そんな大事な試合で、

俺は市丸先輩に迷惑掛けたくないんだ。」



木積くんは本当に沈んでいて、

そこまで市丸先輩がすきなんだって、

改めて思った。


先輩に底まで思える木積くんは、

やっぱりあたしは好きだ。




「木積くんらしくないよ…。

そんな落ち込んだり考えすぎるのは

何だか木積くんらしくないな……。

木積くんは、

正直組みたい? 組みたくない?」



「正直に言ったら………

……………組みたい。

試合、…してみたい。」



木積くんは、

『試合をして負ける事が恐い。』

って感じの顔をしていて、

もの凄いくらい顔をしていた。





「じゃぁさ、

今週の練習試合の時組んでみて

考えてみたら?

練習試合なんだから気が楽でしょ?」



「…………そっか…。

じゃぁ市丸先輩に言ってみる」



木積くんは少しだけ

へらっとした笑顔を見せて

最後には小さな笑顔を見せて

あたしに「ありがとう」って言って

教室に入って行った。



あたしは木積くんを

救えたのかは分からないけど、

頼られた事が嬉しくて、

話してくれた事が嬉しくて、

笑顔を見せてくれた事が嬉しかった。






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