俺様王子と秘密の時間
あたしは何も答えられなくて、沈黙してしまった。
羽鳥を傷つけてしまったのはあたしなのに、胸を切られたみたいに傷んだ。
「喧嘩した?まあ、すぐ仲直り出来るって!アイツ、女遊びは激しくても女友達は大切にするタイプじゃん?」
はーちゃんはあまり深く突っ込まずに明るく振る舞ってくれた。
「あたし羽鳥の部屋戻って話してくるね?アンタはゆっくり休みなよ?」
さりげないはーちゃんの優しさが嬉しかった。
卑怯だよ、あたし。
はーちゃんは千秋が好きなのに。
こんなにもはーちゃんは優しいのに。
「……はーちゃん」
「ん?どうしたの?」
それなのにあたしは――。
「ごめんね……」
そんなはーちゃんにあたしは何度も何度も心の中で謝った。
「なに謝ってんのよ?じゃ、あたし戻るからなにかあったら連絡しなさいよ?」
ドアが閉まる音がして、とたんに涙腺が緩みだしたのをグッと堪えた。