俺様王子と秘密の時間


「お前、“水城十蔵”って知らねぇの?」

「え……?」


“水城十蔵”……?

あれ?

確かどっかで……。



「日本でも有名な写真家だ。んなことも知らねぇのかよ」


うーん、と唸るように考えると、すぐにわかった。

それは水城十蔵っていう名前にピンときたんだ。


さっき階段で涼くんの鞄がふっ飛んだ時に散らばった中にあった写真に水城十蔵って記入があった。


涼くんのお父さんって、そんなにすごい人だったなんて知らなかった。

じゃあなんで恋愛ネタばかり撮ってるの?

そんなことを考えていると、



「さっき水城になに渡されたんだよ?」

「あ……」


あたしはポケットに手を突っ込んで封筒のようなモノを取り出した。

“王子、丘の上公園にて”

そう書かれていたのが目に入る。

学校の近くの公園だ。



「なんか書いてあんのか?貸せ。どうせロクなもんじゃねぇ」


千秋があたしからそれを奪おうとしたその時。

 

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