俺様王子と秘密の時間
あたしの頭のわきに置いた手に、力がこもってゆくのがわかった。
「まだユリと切れてねぇんだぞ?お前が傷つくかもしんねぇのに……」
――羽鳥。
羽鳥はこういう優しさをちゃんと持っている人で、それを上手く表現出来ないだけで。
他人を思う気持ちは誰よりもある、本当は優しい男の子……。
「オレ……アイツみたいに頭は良くないけど、身長だって負けてねぇし……顔だって悪くないだろ?」
なんで羽鳥はあたしなんかを好きだと言ってくれるんだろう……。
全てが揺さぶられるようだった。
「……オレにしとけよ」
かすれた声でそう言って、羽鳥はあたしの頭の横に顔を埋めた。
「ごめ…んなさい……」
胸が張り裂けてしまいそうだった。
自分が傷つくよりも、誰かを傷つける方がずっとずっと痛かった。