【盲目の天使】番外編
いつもなら賑わっているはずの城下町が、人どころか犬一匹の影さえ見えない。
木々がざわめいて、一斉に鳥たちが飛び立ったかと思うと、その後に残ったのは、静寂だけだった。
・・くそっ。
何軒も歩き回っているのに、皆逃げてしまって、侍女に適当な女どころか、人にすら会いやしない。
俺は、朝早くから馬に乗り、いくつもの家を回り、扉を叩いた。
しかし、そのどれもが徒労に終わり、いまだに主人の命令に合う人物を探し当てられないでいた。
と、どこかで激しく扉を叩く音が聞こえた。
一瞬、幻聴かとも思ったが、それならいっそ諦めがつくと思い、音がするほうに馬の歩を進めた。