【盲目の天使】番外編

次の日は、さわやかに晴れ渡っていて、まるで俺の心を写し取ったみたいだ。

と、思ったら、


「マーズレン!リリティスへの命令は取り消しだ。誰とでも自由に会わせろ」


とのカルレイン様の命令。


どうやら、ルシルは、俺の偉大な主の心までを、すっかり晴れに変えてしまったようで。

俺は、はい、と返事をして、カルレイン様の後を歩いた。


廊下を進むと、反対側から来るルシルとすれ違った。

俺は、ちょっと緊張して、ルシルを見たのに、彼女はカルレイン様に道を譲って会釈すると、

俺を振り返ることもなく、すたすたと歩いていってしまった。



う~ん、女って強いなぁ。



よく聞きはするし、俺の母を見てもそう思う。

でも、あのルシルにそれを感じようなんて、出会ったときには、想像もしなかった。


ふと、彼女の母親を思い出した。沢山の子供に囲まれた、肝っ玉母ちゃん。

ひょっとして俺は、ルシルに首を絞められたりする日が来るんだろうか。



・・まさかね。



俺は、カルレイン様との距離を詰めるために、歩を速めた。



<つづく>



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