【盲目の天使】番外編
・・どこだ、ここ?
見たこともないような、低い天井に細い梁。こんなぼろい作りは見たことがない。
俺がゆっくりと辺りを見回すと、幼い子供の声がした。
「お姉ちゃん!目ぇ、覚ましたよ」
いくつもの小さな瞳が自分を見つめている。ふと、茶色いくりくりとした瞳をみつけて、はっと覚醒した。
「ルシル!俺はどうしたんだ?」
言いながら、ルシルの母に首を絞められたことを思い出して、落ち込んだ。
いくら油断していたとはいえ、民間人、しかも女性に気絶させられるなんて。
俺がほおっ、と息を吐くと、ルシルがあたたかいスープを差し出してくれた。
「ごめんなさいね。うちの母さん、力持ちで。スープ飲んで。あったまるから」
ルシルは他の兄弟たちにも、スープを分け与えると、俺の横に座った。