レモン

イブの夜に何度も何度もシュミレーションして、
カッコいい言葉を探してた。

当日になって指輪を見せて、
昨日の台詞を言おうとしたら思い出せなかった。

結局「結婚しよう。」って、
1番ありきたりな言葉になってしまった。

それでも小柄は喜んでくれた。

でも、本当はもっとグッとくる事言って、
泣くくらい感動するはずだったんだからな。


次の日、朝食を作る小柄の手には、
俺があげた指輪が光ってた。

小柄の気持ちが伝わってきた。

俺はもう何も心配する必要ないなと分かった。

安心したとたん、
仕事も上手く行くようになった。


初詣に行った帰り、
車の中で小柄は妙に物静かだった。

ちょっと心配してたら、
俺の心臓が飛び出そうなくらい、
嬉しい事を言ってくれた。


「そろそろ2人で住まない?」


俺が待ちに待った言葉だった。

以前から考えていた俺には、
物件探しに時間は掛からなかった。

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