レモン

「私、生きているのかな・・・。」


いつもの様に俊司の家に帰って来た私は、
テレビを見ている彼の隣でぼそっと呟いた。

聞こえなかったのか、彼は反応しない。

(まぁ、良いや。)

と思い一緒にテレビを見た。



お母さんに呼ばれご飯を食べに下に降りていった。

いつもみたいに皆で話を交わしながらの楽しい団欒、
ただ1人俊司だけは笑っていなかった・・・。

(ずいぶんと不機嫌だなぁ~。)

何て思いながらも放って置いた。



食べ終えると1人ですっと立ち上がり、
何も言わないまま部屋へ戻ってしまった。

追いかけるように部屋に入ると、
彼はまたテレビを見ていた。

「・・・何怒ってるの?」

そぉ~っと聞いてみたけど返事はない。

まるであの教室みたいだ・・・。



ここにも、
もう私の居場所はないのかと不安に襲われた時、



「私が生きている必要あるのかな・・・。」



と思わず零れた・・・。
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