レモン
俊司の家の玄関には下駄箱に大きな鏡がある。
私はいつも出かける前に、
そこで身だしなみのチェックをしては、
「小柄、遅い!!」
と俊司に頭を軽く叩かれていた。
その大きな鏡に私と俊司が今写っている・・・。
また静まり返った家に私の声が響いた。
「・・・何・・・言っ・・・てんの??」
健の言葉を理解できなくて、
私は小さな声で言い返した。
「1人じゃないじゃん!!
・・・何言ってんの!!ねぇ、健!!」
何も言ってこない健たちを見て怒ったように言い、
俊司の方に顔を向けた・・・。
「小柄さん・・・。」
お父さんが重い口を開けた。
「俊司は今日・・・亡くなったよ。」