記憶の破片
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バカにされたような気がしたのにお父さんの瞳はそんなことを感じさせない。


お父さんは何が言いたいのだろう。



「沙江」



「…はい」



土方さんの生まれ変わりだからなのかはわからないけど、放たれる威圧感に簡単に負けてしまう。



「俺は、4年かかった」



「…え?」



4年という期間が何に費やされた期間なのか、私には見当もつかない。


首を傾げるとお父さんの視線が数秒お母さんのいるキッチンに向いた。



「沙知に……お母さんにもう一度会うために4年捜した」



真剣な表情、声、瞳。


4年という期間を頭に思い浮かべて思わず挫けそうになった。



「何十億人っていう世界の人口を考えたら4年なんて短いと思う」



それは、そうかもしれないけど…。


確かに日本人に生まれ変わったなんて保証はどこにもない。



「ただ、俺の場合は沙知が日本人だと知っていたから、範囲は限定できたけどな」



苦笑したお父さん。


私はただ黙って話を聞くことしかできなかった。



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