君へのラブソング
最寄の大きな駅に着き、あたしは重い足を引きずりながら帰る。
すると、優しいギターの旋律に乗せて綺麗な歌声が耳に入ってきた。
普段なら気にも留めない、ストリートライブ。でも何故か今、足を止めた。
聴いたことのない、歌だった。きっと、この人のオリジナルソングなんだろう。
歌ってる人の前に引き付けられるように向かう。
くっきりした二重に鼻筋のはっきりした鼻。薄い唇。
漆黒の髪がよく似合う綺麗な男の人だった。
ばちっと彼と目が合った。
澄んだ目にあたしが映る。
にこりと、見知らぬあたしに笑顔を向ける、彼。
その笑顔は穏やかで優しくて、今のあたしには少し辛かった。