うちのおネコ様

(9)お散歩デート

まだまだ彼らのいう事に疑問がつきる事は無い。例えば・・・

・どうして人間になってすぐしゃべれるのか?
・食べ物や味覚の違いはあるのか?
・人間になってもネコの言葉はわかるのか?
・その「契約」には期限・・・つまり時間は決まってるのか?

だって、昨日はハルが人間で、今日はルディが人間で。ハルは昨日自宅に帰ったときは既にネコだったし。ルディもいつネコに戻るのだろうか。


私はとりあえず父の洋服ダンスから、ルディに着させる物を探していた。
ルディは一着一着を見定めて、「コレは良い」「コレは嫌だ」と甲乙つけている。

・・・服のセンス(趣味)みたいなのは普通にあるようだ。

ルディが言うには、みんなそれぞれネコの状態の基準値から推測し、多分こんな人間であろう~という力や姿形が備わって「人型」になるらしい。
食べ物だって、人間が食べている物の方がおいしそうに見えるし、でも今朝のキャットフードのように、なんとなくネコの頃の記憶で「好きだったもの」と思えるのもあるらしい。

言葉もどうやら日本で育ったわけだから、日本語が話せるという。
これが外国の例えば父母が行っているアメリカで起きれば、そのネコは英語が話せ、フランスだったらフランス語が話せるらしい。なんと都合の良い事。


「ボクはアビシニアンだから、ご先祖様はエチオピア出身なんだよね」

父よりガタイの良いルディは気に入った服を着ようと必死だったが、TシャツがチビTになってしまい、おへそが丸見えである。

「しかしほんとにスタイルいいのね・・・」

ちょっとムカついた。アビシニアンは優雅で野性的な容姿を生まれ持っているのだ。
人間になったルディも、そこはきちんと「人型」として完璧に再現されていた。

「ねえっ・・・ちょっと!無理やり着て服やぶかないでよ?」

忠告した時にはもうすでに遅かった。


これが父のお気に入りのシャツではない事を願おう。




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