うちのおネコ様
いつぐらいの写真が見たいの?と聞くと、彼は「わからない」と言った。

わからないって、すごいな。まるで自分の意思じゃないような答え方だ。


私は奥の部屋の押入れの中にある数冊のアルバムを取ってきた。他にも自分が持っている、自分の幼い頃の写真等も持ってきてみた。


「とりあえず、こんなもんでいいかな?あとはお母さんに聞かないと何処にあるかわからないの。」

そういってホコリの被ったアルバム等、約8冊を机の上に置いた。


「ありがとう。ごめんね。」

ブルーはそういって、口元だけ笑うと、適当に上から1冊取り、そのまますぐにアルバムに見入ってしまった。



私もその次のアルバムを取って、懐かしい写真の数々にいちいち口を挟みながら、見始めた。


しかしブルーは私の言う独り言に、ニコっと笑うだけで、一言もしゃべらず、まるで国語の教科書を読んでいるかのように真剣に眺めていた。
1つ1つ丁寧に見て、何かを感じようと必死になっているような気がした。


私もそれに気がつくと、いつの間にか黙って見るようになっていた。


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