うちのおネコ様

「カイン・・・」

聞いたことのない名前だった。うちの近所にそのような名前の子は存在しない。

「それは･･･カインって子は・・・ブルーの知ってる子なの？」

ブルーは、んー･･･と鼻に響かせて、「いや。直接は知らない」と一言いった。



知らない人なのに、自分はその人の生まれ変わりだなんて、どうやってわかったんだろう？私は２つ目の不思議な出来事に、しばらく眉毛を漢字で「八」という文字を書きながら、黙っていた。


「そんな事急に言われたって、美子ちゃんも困るよね」

ブルーは苦笑をして、大丈夫？と私の顔を覗き込む。

「あ、ごめんねっ。うーん・・・と。昨日から、、いやおとといからホントに驚かされてばっかりで参ったった。アハハハ、ア、アハハ･･･」

空笑いの私に、「そりゃそうだよね。」と、ブルーは同情してくれた。


ブルーは昨日のルディとは比べ物にならない位本当に落ち着いている。まるで今回の出来事も全て「予想通り」といった風に感じているのでないだろうか。


彼が契約を結び、その直接は知らない「カイン」の生まれ変わりだと知り、そして今ここで人間の姿になって私の前へ現れた。しかも、カインが何か特定の感情を持ちそれを何とかしたいと思う相手は、私の母だという。


「まあ色々信じられない事が起きていると思うけど･･･美子ちゃんには心配させないようにするから。」

だから、安心して？と、ブルーは私の頭をなでた。

「･･･っ！」


私は３人目の我が家の愛猫からのスキンシップに度肝を抜かれてしまい、俯きながら一瞬目を丸くした。

「あ、ありがとう。。大丈夫」


16歳女子高生にとって、突然のお触り（スキンシップ）は非常に刺激が強い。一人目のハルの登場＆抱き寄せ、２人目のルディの一緒にお布団＆デートに比べ、彼のしてきた事は、「私の頭を撫でる」という、大人が子供にでもするような「ヨシヨシ」だったのだが、見た目同じ年頃の子に急にされるものではないので、正直驚いた。


本当にうちの猫たちはプレイボーイなんじゃ･･･と、猫年齢では自分よりもうんと年下の子達が自分の知らないを世界を、既に知っているようで、私は複雑な気持ちになった。