―不可能な共存―
「どうして今パクられるわけにはいかないんだ?」



頭を抱え込んでいるテツに、南條がたずねた。



「殺られる…」



テツは異常なくらいに何かに怯えている。



恐怖のせいか、呂律がうまくまわっていない。



もちろん、テツは南條に怯えているわけではない。



ある人物に対し、限りない恐怖感を抱いているのだ。



「誰に?」


「…」



テツは南條の問いに答えられないでいた。



まるで、名前を言うとその人物がここに現れると思っているようだった。



「岩佐木か?」



テツはブルブルと震えながら言った。



このテツをこれだけ怯えさせるなんて、岩佐木という男はよほど恐ろしいのだろう。
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