感方恋薬-知られざる月の館-
幸に捕まえられた爺は、幽霊補完電磁籠の柵につかまって、何かをあたしに言おうとしているが、どういう訳か、あたしに、その声は聞えなかった。


爺の口パクだけは見えるのだが、声が全然聞こえない。


この籠は、爺の声すらも遮断できる物なのであろうか?


「なに?なに言ってるの爺」


あたしは籠の鳥になった爺に向かって必死で話しかけた。


しかし、爺の声はあたしにはまるで聞えない。


ただ、何かをぱくぱくと叫んでいる様には見えるのだが、内容は全く不明。


あきらめかけたその時、あたりに、じ―――っという耳障りなノイズが響き始めた。


「幸、なんの音?」


幸は急に怪訝な顔をすると、幽霊補完電磁籠を突然空中に放り投げた。

「あ、危ない」

幸の、のほほんとした声が、無人の教室に響いた…瞬間
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