感方恋薬-知られざる月の館-
「じゃぁ、いきまーす」


カチンと探知機のスイッチが入る音が聞こえた。同時に、頭の中が、じーんと痺れる様な感覚に襲われた。


「大丈夫ですか、貴子さん」


「だ、大丈夫じゃ無い」


「そうですか、じゃぁパワーアップしますね」


だから、人の言う事を聞け幸、あたしは、大丈夫じゃぁ無いって言ってるんだぞ。被験者が無理って言ってるんだから、とっとと実験を中断せんかい!


「あ!幸雄君、あれ…」


突然紀美代があたしの背後を指差した。


そこには三倍モードで5回位ダビングを繰り返したビデオ映像みたいな、爺の姿が、ぼんやりと出現した。


あたしは、やばっと思って、米神に張り付けられたケーブルを力任せに引っ剥がす。


それと同時に爺の姿は、ふっと消えてなくなった。
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