MARRIAGEABLE─お年頃─
「大丈夫ですよ。どうかしたんですか?」

私の問いかけに、電話の向こうの彼は口を閉ざす。

やっぱり何かあったのだろうか?

いままで彼から深夜に電話がかかってきた事はなかった。

『あのさ…』

一言だけ呟き、彼はまた黙る。

「・・・・・」

『・・・・・』

暫く静かな時間が流れ、彼がようやく口を開いた。

『ユミカちゃんの声が聞きたくなって。』

ドキンと胸が鼓動する。

声が聞きたくなって…その台詞が何度も頭に響き、私は何も考えられなくなった。

みんなの言葉なんて気にならないぐらいに私の胸は高鳴り、その忠告さえどうでもよくなっていた。

『ユミちゃん気を付けてね。アイツ女癖悪いから。』

私はそんな言葉をいろんな人からかけられていた。



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