MARRIAGEABLE─お年頃─
「そうなんだ…。」

沈む気持ちを隠し、私は彼に言った。

そんな私の心の内に彼は気付くわけもなく、彼はポケットの中で振るえ続ける携帯電話に気付かないふりをしていた。

その電話は一体誰から?

バイト先の近くの美容院の女?

あの胸の大きい看護士?

それともパン屋の彼女?

同じ大学の女?

昨日の夜電話したのに、なんで私の電話に出てくれなかったの?

何度も電話したのに…。

ずっと電話してたのに…。

あんなに着信残ってて気付かなかったなんて、一体何してたの?

「…昨日電話したんだけど。」

勇気を振り絞り私は彼に聞く。

「あー…悪い。車の中に携帯置いたままにしてたんだ。」

そう言い、彼は私から目を逸らす。

駄目…そう思っても私は零れ落ちる涙を我慢する事が出来なかった。

下を向いている私の瞳からはポロポロと涙が落ち、ジーンズに染みを作っていく。



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