MARRIAGEABLE─お年頃─
「なんで泣くんだ?どうした?」

静かに涙を流す私を見て、彼は心配そうに聞いてきた。

私は唇を強く噛み、嗚咽が漏れないように堪えた。

「どうしたんだよ。」

何も答えようとしない私をふんわりと抱きしめ、耳元で彼は囁く。

その囁きさえも愛しくて、私の口からは耐え切れず嗚咽が漏れる。

「ごめん…。」

私はアナタを離したくない。

「ちゃんと言って、分からないから。」

私を抱きしめたまま彼は私に言った。

言っていいのか…。

悩みはしたが、何か言わない限り彼はこのまま私を抱きしめているだろう。

そして私はそのまま流される。

適当な言い訳も思いつかない私は、今思っている事を正直に言葉にした。

「不安なの。私の他に誰かいるんじゃないのか。不安になる。」

そう言うと大きく深呼吸をして、呼吸を整えた。



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