満月の銀色ススキ
望月は申し訳ないと瞳を閉じた。

少し、出歩き過ぎた。

本来なら、家にいて過ごす期間。
それを、毎日ススキに会うために抜け出していたのだ。

体力を消耗してしまったのだろう。


「…昔から、体力のなさって変わらないんだ……」


望月は酷く落胆した。

昔は歩くことも苦だったのだ。
それに比べれば、体力もだいぶ付いたものだと思っていたのに。

何も変わっていないようなものだった。


「…ススキさんに会いたいなぁ」


ぽつりと、言葉が零れた。

家にいるのは楽しかった。
けれど、ススキに会っている間はもっと楽しかった。

何より、安心したのだ。
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